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Q1 生前にできることはありますか?
A1 遺言書の作成⇒相続人の間で誰が何を相続するかで揉めることを避けます
成年後見制度の利用⇒後見人が財産をしっかりと管理しているため、相続が発生したときに、生前の財産処分について争いになる可能性も低くなります。
生前贈与⇒相続後の財産分けのトラブルを避けることができます。
生命保険を活用⇒受取人を指名することができ、相続税の軽減にもつながる可能性も高い
相続税の試算⇒できる限り節税をした試算をし、いざというとき慌てないように準備する。
Q2 一度書いた遺言書の内容を変えたいのですが、どうすればよろしいでしょうか?
A2 遺言者は、遺言の内容を変えること、つまり遺言の一部もしくは全部撤回は、いつでもすることができます。
遺言書は、遺言者の最終意思を実現するものである以上、遺言を撤回する理由を問われることはありません。
ただし、その方法は、遺言の方式によるとされています。
つまり、口頭では、遺言の撤回はできないということです。
新たな遺言は、その方式は問われません。
自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回する。あるいは、逆に、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することができます。
また、遺言者が、生前、遺言の内容と抵触する行為をした場合や、遺言書を破棄した場合にも、遺言の撤回がされたことになります。
Q3 遺言書を見つけましたが、家庭裁判所で検認を受ける前に、開封してしまいました。
その遺言書は無効になるのでしょうか?
A3 このような行為があったとしても、遺言書自体を無効にするものではありません。
遺言書の検認の手続きは、遺言の内容の有効性を判断するものではありません。
遺言の内容を明らかにし、以後、変造、偽造を防止する手続きです。
また、相続人など利害関係者に遺言書の存在を知らしめる効果もあります。
仮に、検認の手続きを受けずに、封印されている遺言書を開封したり、遺言書の内容を執行した場合に5万円以下の過料に処せられることになります。
遺言書を偽造、変造すれば相続の欠格事由に該当し相続人ではなくることも考えられます。
ただし、このような行為があったとしても、遺言書自体を無効にするものではありません。
遺言は、遺言者の最終意思を実現するものであり、このような遺言者と無関係な行為によって遺言者の意思が実現されないことは、遺言者にとって酷だからです。
Q4 暴力を振るう夫には、財産を残したくないのですが、どのようにすればよろしいでしょうか?
A4 配偶者、子、、親、兄弟姉妹等相続人には、それぞれ、民法で相続人の順位、法定相続分が規定されております。
配偶者は、常に、法定相続人であり、その相続分は相続財産の2分の1と定められております。
しかし、遺言を残しておけば、これと異なるように相続させることができます。
遺言書で、法定相続と異なる相続をさせることができるとしても、無制限に、遺言者の意思が尊重されるものではありません。
相続人の遺留分を侵害している遺言は、その相続人から、遺留分減殺請求を受ける可能性があるのです。
しかし、遺留分権利者も、常に、遺留分が保証されているものでもありません。
遺留分を有する推定相続人が被相続人を虐待し、もしくは、重大な侮辱を与えた場合、またはその他著しい非行があったときには、推定相続人の廃除をすることができます。
生前のうちに、推定相続人の廃除をすることもできますが、更なる暴力を加えられるおそれもあることから、今回のように、夫が暴力を加える場合には、遺言により、推定相続人の廃除をすることができます。
しかし、遺言で、推定相続人の廃除を行う場合には、遺言執行者はその遺言が効力が生じた後、遅滞なく、廃除を家庭裁判所に請求する必要があります。
Q5 遺言書はどんな人でも書けるのでしょうか?
A5 民法では、意思能力を持っている人でなければならないとされています。
例えば、泥酔している時に書いた遺言書は無効となります。また、成年後見人の方が
書いた遺言書は原則無効となります。(例外はあります。)
遺言書は15歳以上であれば、未成年でも遺言書を作成することが出来ます。
Q6 私には子供がいません。妻に財産をすべて相続させることはできますか?
ちなみに、相続人は、妻と私の弟です。
A6 遺言書を作成することにより可能となります。
遺言書がなければ法定相続分で奥さんが3/4、弟さんが1/4となりますが、
遺言書で「妻にすべての財産を相続させる」との内容にしておけば兄弟姉妹
には遺留分がありませんので、奥さんにすべての財産を相続させることができます。
Q7 夫婦で共同で遺言を作ることはできますか?
A7 同一の証書で2人以上の人が遺言をすることを「共同遺言」といいます。たとえ夫婦で
あっても、共同遺言をすることは禁止されています。もし共同遺言を作成しても、無効に
なってしまいます。
Q8 手が不自由なので家族に遺言書を代筆してもらおうと思うのですが、差し支えありませんか?
A8 遺言は、自筆が基本です。家族であっても代筆は避けて下さい。
そのような時は、公正証書遺言を作成すると良いでしょう。
公正証書遺言の場合、遺言者の意思を公証人が確認した上で、公証人が遺言書を
作成してくれますし、公証人に出張して頂くことも可能ですから、お体に不自由があっても
問題ありません。
Q9 公正証書遺言を作成するために事前に準備する書類を教えてください。
A9 公正証書遺言を作成するに際しては、一般的に下記の書類を用意する必要があります。
1. 遺言者の実印と印鑑証明書
2. 遺言者の戸籍謄本
3. 財産をもらう方の住民票
4. 財産をもらう方が相続人の場合、その相続人の戸籍謄本
5. 対象財産が不動産の場合、不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書
6. 対象財産が預貯金等の金融資産の場合、金額や内訳を記載したメモ
7. 証人の住所・氏名・職業・生年月日などを記載したメモ
Q10 遺言をすればそのとおりに内容が実現されますか?
A10 基本的には遺言者の意思が尊重されますが、例外もあります。
例えば、自筆証書遺言などの場合、作成しても遺言書自体が相続人の目につかない
場合や、存在が明らかであってもその内容が相続人の意向と合わない場合等には、
必ずしも遺言者のご意向が尊重されるとは限りません。
兄弟姉妹以外の相続人には遺留分というものがあるため、公正証書遺言であっても
例外的に遺言の内容が実現されない可能性もあります。
Q11 遺留分とは何ですか?
A11 法定相続人のうち兄弟姉妹以外の相続人に認められた、最低限の保証です。
相続人の受ける相続分は、法律上「法定相続人」として一定の割合が定められています。
これは、被相続人死亡後の、配偶者や子供などの生活保障、相続人による被相続人の
財産形成への寄与に配慮して設けられた制度です。